鈴木 邦弘(すずきくにひろ)
1973年栃木県出身、埼玉県で育つ。
イラストレーター、絵本作家、介護福祉士。
長岡造形大学卒業、パレットクラブ6期修了。
第4、6回MOEイラスト絵本大賞入選。
グループ展に多数出展し、2013年からは銀座ゆう画廊にて定期的に個展を開催。
コミカルなキャラクターを描きつつ、シニカルな表現を心がける。作品の持つメッセージ性を重視しており、絵本制作においてもそれは共通している。
介護福祉士の経験を生かした介護絵本にも取り組んでいる。


おじさんと犬が福島県浜通りの故郷を散歩する。青空のもと目の前に広がる変わり果てた光景。あてもなく彷徨う二人のイラストレーション旅行記
2015年3月、震災から4年を経て初めて福島を訪れた。
震災後、ずっと気にかけていたが、原発に関する報道も減っていくなか、自分の眼で実際に見なければいけないと考えていた。
国道6号線で帰還困難区域を走った時に見た光景は、今も忘れない。人気のない街並み、立ち並ぶ廃墟やバリケード、フレコンバッグの山、そして津波に押し流された大地。
帰宅後には、途中下車した場所の空間線量を調べ、思わず絶句した。以来、何度も福島を訪れ、作品のテーマとしても取り組むようになった。
先日富岡町を訪れた際は、グループホームの廃墟を見た。
この施設に入居していた人たちは今どこでどうしているだろう。
これまで介護福祉士として何百人もの高齢者を見てきたが、故郷を想う気持ちは皆同じだった。そんな大切な故郷を、有無を言わさず奪った原発事故。
僕の描く福島の風景を通して、少しでも「ふるさと」に想いを駆せてもらえたらと思う。
鈴木 邦弘

浪江町・希望の牧場での取材(2018年10月)

浪江町・請戸地区での取材。資料として撮影した風景写真に、ストーリーを盛り込んでイラスト化する